欲しかったものを買ったのに、思ったより嬉しくなかった。そんな経験はありませんか。
逆に、たいした金額じゃないのに、いつまでも心に残っている買い物もありますよね。この差はどこから来るんだろう、と気になったことがあって、少し調べてみました。
そうしたら、日本でよく言われている「年収800万円で幸福度は頭打ち」という話が、実はもう更新されていることが分かったんです。今回は、お金と気分の関係を、研究の話も交えながら整理してみますね。
🛍️ 買っても満たされないのは、慣れるからです
まず、いちばん基本のところから。
新しいものを手に入れると、そのときは嬉しいですよね。でも数週間もすると、それがある状態が当たり前になって、嬉しさが消えていきます。
これは意志が弱いからではなく、人の仕組みです。同じ刺激が続くと、脳がそれを標準として扱うようになるんですよね。
やっかいなのは、当たり前になった時点で、次のものが欲しくなること。新しいモデルが出れば、また同じことを繰り返します。買っても買っても追いつかない感じがするのは、この慣れが早いからです。
なので「買えば気分が上がる」は、半分だけ正しいことになります。上がるけれど、その位置に留まってはくれない、ということですね。
💴 「年収800万円で頭打ち」は撤回されています
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
「年収が800万円を超えると、それ以上増えても幸福度は変わらない」という話、聞いたことがある方は多いと思います。これは2010年に、ノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマン氏らが発表した研究がもとになっています。
ところが2023年3月、当のカーネマン氏自身が、別の研究者と共同で新しい論文を出しました。3万人を超える働くアメリカ在住者を対象にした調査です。
結論は、7万5000ドルを超えても幸福度は伸び続ける、というものでした。つまり以前の説を、提唱した本人が更新したことになります。
面白いのは、この共同研究が「敵対的協力」と呼ばれている点です。正反対の結論を出していた研究者どうしが、あえて組んで同じ課題に取り組んだんですね。自分の説が否定される可能性を引き受けたうえでの研究でした。
ちなみに、日本で使われる「800万円」という数字にも注意が必要です。7万5000ドルを当時の為替で換算した数字なので、いまの為替で計算すると1000万円を超えます。数字も説明も、二重に古くなっているんです。
⚖️ ただし、例外があります
ここを飛ばすと、話が乱暴になってしまいます。
2023年の研究では、幸福度が低いグループと高いグループに分けて分析されました。そして、幸福度が低いグループでは、ある水準を超えると幸福度の伸びが止まる傾向が見られたんです。
これが何を意味するかというと、お金では解決しない種類のつらさを抱えている場合、収入が増えても効き方が限られる、ということになります。
人間関係の悩み、健康の不安、喪失の痛み。こういうものは、金額では埋まりません。むしろ「稼げば楽になるはず」と思い込むほど、思うようにならないことに苦しくなります。
なので、正しくはこうなります。お金は幸福度を上げる。ただし、上げにくい人と、上げにくい種類の苦しさがある。
🎁 金額より、何に使ったか
使い方によって、残り方が変わります。
モノよりも体験にお金を使ったほうが幸福感が長続きする、という調査があります。モノは慣れて当たり前になりますが、体験は計画している段階から気分が上がって、終わったあとも記憶として残るからです。
もうひとつ、2008年に発表されたエリザベス・ダン氏らの研究では、自分のために使った人より、他人のためにお金を使った人のほうが、その日の幸福度が高くなったという結果が出ています。プレゼントや寄付ですね。
ただし、ここには留保があります。利他的な支出の効果は短期的で、長期で見ると別の影響が出る可能性を示す研究もあると指摘されています。「人のために使えば幸せになれる」と単純化しないほうがいいところです。
現実的にできることとしては、同じ予算なら、形が残るものより時間が残るもの。ひとりで完結するものより、誰かと共有するもの。この2つを意識するくらいがちょうどいいと思います。
📊 支出のタイプ別に見てみると
同じ金額でも、気分への効き方が違います。
| 使い方 | 効き方 | 向いている場面 | 合わない条件 |
|---|---|---|---|
| モノを買う | 強く上がるが早く戻る | 生活の不便を解消したいとき | 気分の落ち込みを埋めたいとき |
| 体験に使う | ゆるやかに長く続く | 予定を作って気持ちを動かしたいとき | 予定を組む余力がないとき |
| 人のために使う | その日の気分が上がる | 誰かとの関係を大事にしたいとき | 自分が余裕を欠いているとき |
| 時間を買う | 負担が減って持続する | 家事や移動で消耗しているとき | 予算に余裕がないとき |
いちばん見落とされがちなのが、いちばん下の時間を買う支出です。家事の代行、少し高い直通の交通手段、時短になる道具。
これは贅沢に見えますが、減るのは支出ではなく消耗のほうなので、じわじわ効きます。何を買うか迷ったときは、これで疲れが減るかを基準にしてみてください。
🌧️ 気分が落ちているときの買い物
ここは正直にお伝えしておきますね。
気分が沈んでいるときの買い物は、効きます。ただし短いです。そして戻ったあとに、買ったこと自体が新しい負担になることがあります。
わたしも経験があるのですが、落ち込んでいるときほど「これを買えば変わる気がする」と思ってしまうんですよね。実際に届いてみると、変わっているのは部屋の物の量だけだったりします。
対処としては、落ち込んでいるときは決めない、というだけで十分です。
カートに入れて、翌日まで置いておく。それでも欲しければ買う。この1日で、かなりの割合が消えます。
もし、買い物をやめられない感覚が続いていたり、金額が生活に影響するほどになっていたりする場合は、気持ちの持ちようの問題として扱わないほうがいいです。専門の相談窓口があるので、そちらを頼ってください。
🙅 こんな人には向きません
この記事の考え方が合わない場合もあります。
いま生活費が足りていない方
ここに書いているのは、ある程度の余裕がある前提の話です。日々の支払いが厳しい状況では、使い方の工夫より、収入や支援制度の話が先になります。自治体の相談窓口が入口になります。
具体的な節約術を探している方
この記事には、いくら減らせるという話は書いていません。気分との関係だけを扱っています。
数字で管理したい方
家計簿をつけて最適化したいタイプの方には、この記事の話は感覚的すぎるかもしれません。
お金さえあれば全部解決すると考えたい方
研究の結果はその逆で、解決しにくい領域があることを示しています。ここを認めるのは少ししんどいのですが、認めたほうが楽になる部分でもあります。
💌 お金の不安が、お金だけの話じゃないとき
お金のことを考えていたはずなのに、気づいたら別のことで胸が重くなっている。そういうことってありますよね。
将来が見えない、比べてしまう、誰にも言えない。この手のものは、金額の問題として考えているうちは動きません。
近い人ほど話しにくい内容でもあります。心配をかけたくない、判断されたくない、という気持ちが先に立つので。
ココナラのお悩み相談は、占い師やカウンセラーにメールや電話で相談できるサービスです。文章なら自分のペースで書けますし、言葉を選び直せるので、うまく話せる自信がなくても大丈夫です。
相談内容も選べるので、占いとして聞いてもらうことも、ただ話を聞いてもらうこともできます。ひとりで考えて堂々巡りになるときは、外から言葉をもらうのも手ですよ。
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🌿 まとめ
整理しますね。
買っても満たされないのは、慣れる仕組みがあるからです。意志の問題ではありません。
「年収800万円で頭打ち」という話は、2023年に提唱者本人が更新しています。お金は幸福度を上げます。ただし、幸福度が低い状態にある人では効きにくく、お金では埋まらない種類のつらさもあります。
同じ金額なら、モノより体験、ひとりより誰かと、そして疲れが減る使い方。この3つが残りやすいです。
そして、落ち込んでいるときは決めない。1日置くだけで、かなり違います。
お金の使い方を変えると気分が変わるのは本当ですが、変わるのは金額のほうではなく、何に使ったかのほうなんですよね。




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