本名も顔も出していないから大丈夫。
そう思って使っているアカウントが、ある日いきなり知り合いに見つかる。あるいは、知らない人から「〇〇に住んでますよね」と送られてくる。
こういう話を聞くと、急に怖くなります。
でも、こわがるだけでは何も変わりません。何が手がかりになっているのかが分かれば、直せる部分があります。
この記事では、守る側の話だけを書きます。人を特定する方法は書きません。
🧩 一つずつは無害でも、重なると形になります

一番大事なことを先に書きます。特定は、一つの投稿からは起きません。
「近所のスーパーが安い」「今日は駅前が混んでた」「子どもの運動会だった」
一つずつは、誰のことか分かりません。ところが、同じ人が続けて書くと、範囲がどんどん狭まります。
パズルと同じです。ピースが3枚では何も分かりませんが、20枚集まると絵が見えます。
だから、古い投稿ほど危ないです。書いたときは何も思わなかったのに、あとから並べると場所が絞れます。
これが、匿名アカウントで一番よくある形です。
📸 写真から分かってしまうもの
写真は、思っている以上に多くを伝えます。
窓の外の景色。ベランダから見える建物。近所の店の看板。制服やユニフォームの形。
ガラスや金属に映り込んだものも同じです。撮っている場所が写り込むことがあります。
もう一つ、写真そのものに記録が付く場合があります。撮った日時や場所の情報が、写真の中に埋め込まれることがあります。
多くのSNSは、投稿するときにこの情報を消します。ただし、メールで送ったり、ファイルをそのまま渡したりすると残ることがあります。
過去には、写真に写った景色から住んでいる場所が割り出され、被害につながった事件も報じられています。
顔を隠す撮り方が広がっている背景には、こういう事情もあります。
🔗 アカウントのつながりで割れます
これも見落としがちです。
複数のアカウントを持っていても、同じ名前の一部を使っていると結びつきます。似た文字列、同じ数字、同じ言い回し。
プロフィールの写真を使い回すのも同じです。
フォローしている相手の並びも手がかりになります。趣味のアカウントと、地元の情報アカウントを両方フォローしていると、範囲が狭まります。
投稿する時間帯も、生活の形を表します。毎日決まった時間に書いていれば、仕事の時間が分かります。
つまり、内容を伏せていても、使い方そのものが情報になります。
⚖️ 法律の手続きも変わりました

ここは知らない方が多い部分です。
人を傷つける投稿をした場合、書いた人を特定するための法律の手続きがあります。発信者情報の開示、という制度です。
以前は、二段階かかりました。まずSNSの運営会社から記録を取り、そのあと通信会社を相手に別の裁判を起こす必要がありました。時間もお金もかかりました。
これが変わりました。2022年10月1日から、新しい手続きが始まっています。
裁判を起こさなくても、一つの手続きの中で発信者を特定できる形になりました。
つまり、以前より早く進みます。
法律の名前も変わりました。2025年4月から、情報流通プラットフォーム対処法という名前になっています。
書き込む側から見れば、匿名は思っているほど強くない、ということになります。
なお、これは私が法律の専門家として説明しているのではありません。実際の手続きが必要な場合は、弁護士か公的な相談窓口に確認してください。
📋 今すぐ直せる所をまとめます
優先度の高い順に並べます。
| 直す所 | やること | かかる時間 | 合わない条件 |
|---|---|---|---|
| 古い投稿 | 場所が分かるものを消す | 30分 | 投稿数が多いと一度では終わりません |
| プロフィールの写真 | 他のアカウントと共通なら変える | 1分 | 仕事で顔を出している人 |
| 名前や英数字 | 他で使っているものと変える | 3分 | すでに知られている名前で活動している人 |
| 写真の背景 | 窓の外や看板が写っていないか見る | 5分 | 風景を見せたい投稿では難しいです |
| 投稿する時間 | いつも同じ時間を避ける | 0分 | 決まった時間しか書けない人 |
| 位置情報の設定 | 端末側で写真への記録を切る | 2分 | 位置の記録を使いたい人 |
上から二つを直すだけで、かなり違います。全部やろうとすると続きません。
⚠️ ここでつまずきます
一つ目は、こわがって全部消してしまうことです。
急にすべて消すと、かえって目立ちます。そして、自分の記録も失います。場所が分かるものだけを選んで消すほうがいいです。
二つ目は、匿名だから何を書いてもいいと思うことです。
上に書いたとおり、手続きは早くなっています。感情のまま書いた一行が、あとで自分に返ってきます。
三つ目は、相手を特定しようとすることです。嫌がらせを受けたときに、自分で犯人を探そうとする方がいます。
これは危険です。間違えた場合は自分が加害者になります。相手が分かっても、直接連絡すると事態が悪くなります。
困っているときは、総務省が支援している違法・有害情報相談センターという窓口があります。まずそこに相談するほうが安全です。
情報そのものの確かめ方は、こちらに基準を書いています。
🩺 つらくなったときの目安
ここも書いておきます。
見つかったかもしれない、と思うと眠れなくなります。この状態が2週間以上続いているときは、一人で抱えないでください。
食欲が落ちた、仕事や家事が手につかない、外に出るのが怖い。こういう状態も同じです。
実際に嫌がらせを受けているなら、警察に相談できます。相談だけでも記録が残ります。
気持ちの面がつらいときは、心療内科か精神科、あるいはオンラインの相談でもかまいません。
SNSそのものから距離を取りたい方は、こちらも参考になります。
🌱 今日からできる三つ
一つ目。自分の一番古い投稿を10件だけ見返してください。場所が分かるものがあれば消します。
二つ目。プロフィールの写真が、他で使っているものと同じかどうか確かめます。
三つ目。次に写真を上げるとき、背景に何が写っているかを一度だけ見ます。
全部で20分ほどです。完璧にする必要はありません。ピースを減らすだけで、絵は見えにくくなります。
🙅 こんな人には向きません
この記事は、次のような方には向いていません。
誰かを特定したい方。その方法は書いていません。
完全に匿名でいたい方。ネットを使う以上、記録は必ず残ります。減らすことはできても、ゼロにはなりません。
すでに嫌がらせを受けている方。この記事は予防の話です。いま起きていることには、警察や弁護士の力が要ります。
仕事で実名を出している方。この記事は、名前を伏せて使う場合を前提にしています。


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