タイムラインに、こういう投稿が流れてきます。
「またあの法則が来た」「今回も当たった」
見た瞬間、心臓のあたりが少し重くなります。理屈では気にしなくていいと分かっているのに、頭から離れません。
そして夜に眠れなくなります。
この記事は、その法則が本当かどうかを判定するものではありません。関係のないものが結びついて見えてしまう、心の働きのほうを説明します。
仕組みが分かると、同じ投稿を見ても揺れにくくなります。
🌀 バヌアツの法則という例
分かりやすい例として、ネットでよく見る言い伝えを取り上げます。
南太平洋のバヌアツという国で大きな地震が起きると、2週間以内に日本でも大きな地震が来る。そういう話です。
当たった例が並んだ投稿を見ると、確かにそう見えます。日付が具体的に書いてあるので、説得力を感じます。
ここで大事なのは、当たった例が本当にあるという点です。作り話ではありません。
問題は、当たっていない例が数えられていないことです。
🔢 数えてみると見え方が変わります

ここからは数の話です。少しだけお付き合いください。
日本の周りでは、マグニチュード6以上の地震が年に十数回起きています。バヌアツの周辺では、年に20回ほどとされています。
そして、1年は52週です。2週間で区切ると、26回分しかありません。
つまり、バヌアツで年に20回地震が起きるということは、1年のほとんどの期間で「2週間以内」の窓が開きっぱなしになります。
日本側も同じです。年に十数回起きるものを26個の枠に入れると、2つか3つに1つの枠には何かが入ります。
計算すると、きっかけが何もなくても、3割ほどの確率で「当たった」形になります。
これが、この記事で一番お伝えしたい部分です。数えると、法則がなくても当たるようにできています。
🧠 なぜ結びついて見えるのか

こういう思い込みには名前がついています。
錯誤相関(さくごそうかん)といいます。
関係のない二つの出来事が、結びついているように見えてしまう心の働きのことです。
理由は、記録の残り方にあります。
当たったときは、印象に残ります。「やっぱり」と思って、人に話します。投稿にもします。
外れたときは、覚えていません。バヌアツで地震があって、日本で何も起きなかった日。誰も投稿しません。
すると、頭の中には当たった例だけが積み上がります。四つあるはずの組み合わせのうち、一つしか数えていない状態です。
もう一つ、後から都合よく思い出す働きも重なります。この二つが揃うと、法則があるようにしか見えなくなります。
記憶が思い出すたびに作り直される話は、こちらに書いてあります。
📋 数え忘れている四つの場合
錯誤相関を見抜く方法は一つです。四つ全部を数えることです。
| 組み合わせ | 起きたこと | 記憶に残るか | 合わない条件 |
|---|---|---|---|
| 両方あった | きっかけがあって、結果も起きた | 強く残る | 数え漏れは起きません |
| きっかけだけ | きっかけがあったが、何も起きなかった | ほぼ残らない | 記録を取っていれば数えられます |
| 結果だけ | きっかけがないのに、結果が起きた | 残らない | 別の説明が要ります |
| 両方なし | どちらも起きなかった | まったく残らない | 数えようという発想が出ません |
一行目だけを見ると、法則に見えます。四行全部を並べると、ただの偶然に見えます。
血液型と性格、ジンクス、験担ぎ。仕組みはどれも同じです。
自分の考え方の癖を見る話は、こちらにまとめてあります。
😮💨 不安が体に出ることがあります
この手の投稿を見続けると、体のほうが先に反応します。
夜中に目が覚める。理由もなく動悸がする。肩や胃が重い。物音に敏感になる。
はっきりしないことを考え続けると、体温を保つ、心臓の速さを決める、眠りに入る、といった働きを調整している仕組みが乱れます。気の持ちようではなく、体の反応です。
この仕組みを知っておくと、症状が出たときに慌てなくなります。何が起きているか分かるだけで、少し楽になります。
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そして、不安の波を気合いで押さえ込もうとすると長引きます。波が来ていることに気づいて、通り過ぎるまで待つほうが早く収まります。待ち方は練習できます。
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⚠️ ここでつまずきます
一つ目は、当たった例を数えて反論しようとすることです。
当たった例は本当にあります。そこを否定すると話が噛み合いません。数えていない三つのほうを出すのが早いです。
二つ目は、人に強く言いすぎることです。
信じている人にとっては、自分の記憶を否定されることになります。事実を伝えるときも、勝ち負けにしないほうが伝わります。
三つ目は、逆に何も信じなくなることです。
すべてを疑うようになると、疲れます。四つ数えられるものだけ数えて、あとは保留にしておくのが続きます。
四つ目は、夜に調べることです。
不安が強い時間帯に検索すると、当たった例ばかり出てきます。調べるなら日中にしてください。
情報そのものの確かめ方は、こちらに基準を書いています。
🩺 つらさが続くときの目安
線を引いておきます。
こういう投稿が気になって、眠れない日が2週間以上続いているとき。
日中に何度も確認してしまって、仕事や家事が進まないとき。
外に出るのが怖くなったり、食事の量が落ちたりしているとき。
この状態なら、一人で抱えないでください。かかりつけの内科でも相談できます。心療内科でもかまいません。
夜がつらいときの過ごし方はこちらです。
🌱 今日からできる三つ
一つ目。気になる法則を一つ選んで、外れた例を三つ探してください。10分で見つかります。
二つ目。その手の投稿を見る時間を、日中だけに決めます。
三つ目。同じ話をしてくる人がいたら、その場で言い返さないと決めます。数えてから話すほうが、結果的に伝わります。
見るのがしんどくなったときの距離の取り方は、こちらにまとめてあります。
🙅 こんな人には向きません
この記事は、次のような方には向いていません。
地震の予知について詳しく知りたい方。ここでは扱っていません。心理の話だけを書いています。
備えの方法を探している方。この記事に防災の情報は入っていません。
法則が正しいと証明してほしい方。この記事は、偶然が法則に見える仕組みを説明するものです。
すでに強い不安があって、確認がやめられない方。読むより、人に話すほうが早いです。


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